Act.9「襲撃、そして・・・」


なんとかブランク社の刺客、ドラグロイを撃破したオメガとカイトだったが―――

そのロボトル中オメガに異変が生じ、ついには動かなくなってしまう。

寺原に診て貰おうとメダロット社へ向かうカイト達であったが……

カイトは走っている途中、いきなり立ち止まってしまった。

「おい!どうしたんだよ!早く行こうぜ!」

ようすを見かねて、ギンザが呼びかける。

「ドラグロイを……連れてくる!」

「ちょっと!何バカな事言ってんの!あいつは敵でしょ?
 助けたりなんかしたらまたいつ襲われるか……」

ミイネは断固反対の姿勢を見せるが―――

「それでも!オレにはあいつをあのままほうっておくなんて、できない!
 アイツはブランク社に依頼されてるって言ってたんだ!きっと訳アリなんだよ!
 だから、助ける!!」

カイトはそう言うと、ものすごい速さで公園の方へと引き返していった。

「あいつ……えっらそうに言いやがって」

「もう!……でも、そこがアイツらしいというかなんと言うかよね」

「―――だなぁ」



カイトは公園に着くと、倒れているドラグロイを発見した。

「いた! メダルは……ここだ!」

カイトはメダルを拾い、メダロッチにドラグロイを転送し、

素早くギンザ達と合流した。

「よし!急ごう!」

三人は再びメダロット社へと足を急がせた―――



―数十分後―

カイト達はオキナミメダロット社にたどり着くと、

すぐさま、寺原の研究室へと向かった。

「寺原さん!!」

いきなりの大声と訪問で寺原は戸惑いつつも、

「や、やあ、君たちか。どうしたんだい?そんなにあわてて……」

「オメガが……オメガが!!」

カイトは今までの事を寺原に話し始めた―――



「なるほど、つまり―――」

「はい。いきなりオメガが黒くなって……」

「うんともすんとも言わなくなっちゃったんです、あたしたちもその場にいて……」
「装甲も回復してたっぽいし、信じられなかったっす」

「それで、原因は一体……」

寺原は少し間を置くと、静かに言った。

「―――メタルコア、かもしれないね」

「メタルコアが!?」

カイトが驚く中、ギンザが質問する。

「どうしてメタルコアがあんな力を?」

「どうやらメタルコアには、得体の知れない邪悪な力が秘められているみたいなんだ」

「邪悪な……力?」

そう言われてギンザの疑問は解けるはずもなかった。

寺原は話を続けた。

「解析の時点ではおぼろげにしか分からなかったが、
 奴らの復活させようとしている、メダロット……
 そいつの力を十分に発揮させるための力だと僕は考えている。
 しかし、こんな形でその力が出ることになったとは……」

「じゃあ、オメガは……」

「幸い、大事には至ってなかったみたいだ。ただ―――……
 その力の影響でメダル、パーツ共に損傷が激しい……
 こっちで修理しよう。パーツはスラフシステムでなんとかなるが、
 メダルばかりは直しようが無いからね」

「おねがいします!……あ、そうだ、メダロット転送!」

カイトのメダロッチからドラグロイが転送されてきた。

メダルを装着してみるも、まだ反応がない。

「その機体が例の―――」

「そうです。こいつも直してもらえますか?絶対悪いやつじゃないと思うんです!」

「うーむ……確かにブランク社の『依頼』と言っていたんだね?」

「はい!」

「ふむ……それなら、何か訳があって襲ってきたのかも知れないからね。
 ……分かったよ。修理しておこう」

寺原は研究室の中でもひときわ目立つ装置を指差した。

カプセルのような形状をしている。

「アレならなんとかすぐにとは言えないが、修復できそうだ。
 オメガ君の損傷も、アレで直すよ」

「やった!」

寺原は二体をカプセルに入れる。カイトが喜びで飛び跳ねている中、

ギンザはなぜかうーんと唸っていた。

「どうしたのよ?」

ミイネが声をかけるが―――……

「いやさ…… あの!オレ思ったんすけど」

ギンザは寺原に向けて言葉を放つ。

「何かな?」

「そんなに危険なものなら、メタルコアを破壊しちまえば、いいんじゃないすか?
 そうすれば奴等も……」

「それは……できないんだ」

「どうしてです?」

「それは――――――――」

寺原が言葉を続けようとしたその時―――!

凄い爆発音と共に、研究所全体が揺れた!

「な、なんだ!?」

「大変です!寺原博士!」

研究員があわてて研究室にやって来た。

「どうした!?」

「何者かに一階の管理システムフロアに侵入された模様です!!」

「なんだって!」

「今はセキュリティが時間を稼いでいますが、長くは持ちません!」

「ブランク社か!?メタルコアを狙ってきたか……くそっ!」

寺原が研究室を出ようとすると、ギンザが先に飛び出した。

「寺原さん!俺たちが行きます! 出番だ!いくぞ!ヴルム!」

『へい!親分!』

「あたしたちも行くわよ!コル!」

『うん!』

続いてミイネも飛び出す。

「き、君たち!」

寺原は二人を止めようとしたが―――止めた。

ギンザとミイネの力を信じ、かけてみようと思ったからだ。

「……気をつけろよ」

「「はい!」」

ミイネとギンザは一階へと駆け出していった。

「いいのですか!?あんな子供に……」

「……ふたりの実力は確かだよ。僕も少ししたら行く。
 先に一階でのシステム緊急修復を頼む」

「りょ、了解しました!」

研究員も一階へ降りていった。

「くそっ!肝心な時にオレは……!」

カイトはくやしいのか、壁に拳を叩きつける。

そんなカイトの肩をポンとたたくと、寺原は言う。

「―――カイト君。メタルコアにはもうひとつ、邪悪とは全く正反対の『力』を併せ持っているらしいんだ」

「もう一つの――――『力』!?」

「その『力』を発揮させて、奴らに対抗する『力』を手に入れる。
 ―――それが、メタルコアを破壊できない理由だよ」



―――――果たして寺原の言う『力』とは!?



Act.9・・・完

inserted by FC2 system