Act.8「目覚め」



突如カイトとオメガの前に現れたブランク社の刺客という野良メダロット、ドラグロイ。

カイトとオメガは何とか一矢報いるも―――……

「ギンザ!早く!」

「分かってる!」

ギンザとミイネはカイトのいる公園の広場に向かってゆく。

広場に着くとすぐにカイトの姿が発見できた。

「カイトーッ!」

ギンザはカイトに向かって呼びかける。

『む?何だ?』

「お?」

ドラグロイが向いた方向へカイトは振り向くと、気楽そうに、

「おお!お前ら、やっと来たのか!遅いっつうの!」

「やっと来たのか、じゃねーよ!なんなんだ?この状況!」

ギンザがそう言うのも、無理はなかった。

オメガのパーツはほぼ破損、それに対し――……


ドラグロイの装甲は無傷に等しい状況だからだ。

カイトは状況を説明すべく、二人に言った。

「簡単に言うぞ!コイツはブランク社の手先みたいだ!
メタルコアのことがバレてるみたいで、オメガから奪いに来たらしい!」

「ええ!?早すぎるじゃない!」


ミイネの驚きをよそに、

『……カイト!来るぞ!』

『……来い!騎龍!!』

ドラグロイの頭パーツの充填が完了した。巨大な龍の形をしたオーラがドラグロイを包み込んだ。

「何……あれ……」

「でけぇってもんじゃねえ……」

『これが拙者の持てる最強の攻撃……騎龍召還だ!

    行くぞ!覚悟は良いか!?』

そのオーラがオメガに向け牙をむく!

「……よし、オメガ!メダフォースは十分に溜まった!行けぇ!!」

そう、オメガとカイトのいう『アレ』とは、レインとの戦いで発覚した―――……

『メダフォース!!『ダメージだま』!!!』

メダフォース、ダメージだまであった!

オメガは光の球をドラグロイめがけて放つ―――!!

『うおおおおっ!!』

続いてドラグロイも龍のオーラをオメガめがけ放ち、光の球と龍のオーラが激しく衝突する!

激しい音を立て、火花を散らす!!

『ぐ……くっ!!拙者の騎龍召喚と互角……だと……!!』

『これで……くたばれ……!』

『なめるなああああああっ!!』

そのとき、辺りが光に包まれ、爆発が生じた。

同時に大量の煙がバトルフィールドを覆う……!

「やったのか!?くそっ何も見えねえ!」

カイトは煙に驚きつつも、オメガを探す。

少しすると、オメガの頭部がチラリと見える。

「オメガ!やったか……?」

『すまない…… ―――駄目だ……!』

「えっ?」

鈍い音とともに煙が晴れて見えたのは、龍のオーラをまともに受けているオメガの姿だった……。

『ぐぁああああああっ!!』

「オメガーーーッ!!!」

『オメガ、頭パーツダメージ68%、
右腕パーツダメージ100%。右腕パーツ機能停止』

『ぐ……馬鹿な……!』

しかしドラグロイもまた、ダメージだまをまともに受けている様子だった。

『ドラグロイ、頭パーツダメージ53%、
左腕パーツダメージ92%。左腕パーツ機能停止』

両者のパーツが同時に壊れた。

ドラグロイがダメージのせいか、その場でひざまずく。

『……くそっ!完全には破壊できぬか……

後一回しか使えんが……今度こそ完全な止めを刺してやる!』

ドラグロイは再び龍のオーラをまとい、もう一度突進攻撃を仕掛けようとする。

「もう……頭パーツの回数がない!……くそっ!オメガ!次の指示……」

カイトはオメガの異変に気づいた。


オメガのアイカメラに光がない。

「な、なに?どうしたの?」

「カイト!どうしたんだ!早く指示を出せよ!」

ミイネ、ギンザが心配するも……

機能停止はしていないが、その場に立ち尽くしている。

メダロッチもモニターからの操作パネルが利かない。

「分かってるけど……な、なんだよこれ!しっかりしろ!オメガ!次の攻撃が……」

カイトがそう言った時には、ドラグロイはもう充填を完了させ、攻撃態勢に入っていた。

『これで終わりだ……!ゆけ!騎龍!』

龍のオーラが再びオメガに向けて放たれる―――!

「オメガ!!ちっくしょお!動いてくれーーーーーー!!!」

カイトが地面に拳をたたきつけ、叫んだ。

その瞬間、どす黒い何かがオメガを包む……!

『な……!?なんだこれは!?』

ドラグロイは戸惑い、おもわず攻撃を中止した。

「オ、オメガ……?」

「何だこりゃあ……!?」

カイト、ギンザは目を見開いて驚く。

「あ、あれ見て!」

ミイネがそこに指を刺すと、オメガはそこにいた。だが―――……

何故かパーツが完全に復活し、装甲が真っ黒に染まっていた。

また、アイカメラの緑の光が赤く染まっている……。

『なっ!パーツ復活しただと!?何が起こっている!?』

『…………』

オメガは何も答えず、静かにドラグロイに右腕の銃口を向けた。

『おもしろい!まだやるというのか?では我が最後の一撃、受けてみろ!!』

「オメガ!いったい何があったんだよ!」

『…………』

オメガは返事をしない。

「意識がないのか……?」

『今度こそ終わりだ!喰らえ!!』

オメガは騎龍が放たれるとともに、ドラグロイめがけ、ライフルを発射した。

直線状に龍のオーラが存在するため 、かき消されてもおかしくないのだが……

見事にドラグロイの頭部を猛スピードで撃ち抜いた。

『ば……ばかな……』

ドラグロイがよろめき、崩れ落ちる。

『敵メダロット、頭パーツダメージ47%。機能停止。機能停止。

敵メダロット機能停止ニヨリ、勝者、カイト』

「すげー……勝っちまいやがった……」

「何なの今の……あんなの普通じゃありえないわ……!」

「オメガ!!」

バトルフィールド解除とともに、カイトはオメガの元へ駆け寄る。

しかしオメガはカイトが駆け寄る前にその場に倒れてしまった。

そして装甲の色がオレンジ色に戻っていった。

「オメガ!……くそっ!ダメだ!動かない……」

「とりあえずメダロッチに戻せ!寺原さんのところに行こう!」

ギンザの提案のもと、カイトはオメガをひとまずメダロッチに戻す。

「カイト、急ぎましょう!」

「ああ、分かった……行こう!」

(あの力……一体なんだったんだ?)


カイトはひとつの疑問を抱きつつ、ギンザ、ミイネとともに研究所へ向かうことにした―――……




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