Act.5「電力発電所を守れ!(後編)」
〜前回のあらすじ〜
カイト、ギンザ、ミイネの3人は公園で
ロボトルをしようとしたのだが、ひょんなことにより
電力発電所の異変に気づく。
寺原の一言を思い出し、
『ブランク社』の仕業と見たカイトは、電力発電所へと向かう。
中へ入ると、キルヘルオウガの群れが現れたが、
何とかこれを不利な状況なのにもかかわらず対処する。
そしてカイトとオメガは、異変の元の電力発電所の最上階の
電波塔を目指し、進んでいく―・・・
最上階には、何が待ち受けているのだろうか・・・
―オキナミ電力発電所 最上階付近―
『オメガ、右腕パーツダメージ73%。機能停止』
『ぐ・・・!』
「オメガ!」
カイト達は何度もキルヘルオウガを相手にしながらも、
発電所の最上階付近まで辿り着いていた。
だが、進んでも進んでも次々と襲いいかかってくる
キルヘルオウガに苦戦し、進みあぐねている。
「くっそお・・・こいつらきりがねえ!
後もうちょっとで最上階なのに・・・!
頭パーツで攻撃だ!」
オメガは頭パーツのミサイルを発射する!
弾道が円弧を描き、前方にいるキルヘルオウガに直撃した!
『キルヘルオウガB、頭パーツダメージ67%。
機能停止。機能停止』
『後一体・・・!』
辺りを見回すが、姿が見当たらない。
退散したのか、と思いきや、
カイトがオメガの背後に敵がいることに気づく。
「オメガ!後ろだ!!」
オメガ『何!?』
キルヘルオウガが右腕の槌を振りかざすその瞬間―!
「ヴルム!左腕パーツだ!」
『へい!親分!』
掛け声とともになんとギンザのヴルムが飛び出し、
左腕のトンファーでキルヘルオウガを弾き飛ばす!
キルヘルオウガがみっともなくゴロゴロと地面に転がる。
「ギ、ギンザ!」
「よう、カイト!ずいぶん苦戦してるみてえだな!」
「なんでここに!?」
「話は後だ!それより・・・」
そうこうしている内にキルヘルオウガが体制を立て直し、
ヴルムめがけて接近する!
「・・・ギンザ、あぶねえ!」
「何!?」
襲い掛かろうとしたその時―!
「コル!頭パーツの転倒をつかって!」
『うん!・・・それっ!』
何者かがヴルムに襲いかかったキルヘルオウガを転倒させた。
そう、ミイネがロボトルに割り込んできたのだった。
妨害行動、転倒はミイネのメダロット、コル……
魔女型メダロット、『ウィードゥ』の頭パーツの効力によるものだ。
「た、助かったぜミイネ!」
「ほんと、あたしがいないとダメダメねー。」
「ミイネも来たのか!」
「まぁねー、それよりあんたは最上階に早く行きなさい!
そこがこの騒ぎの原因なんでしょ?」
「え!? 何でそんなこと知ってんだ?」
「下で倒れてた研究所のおじさんから聞いたの!
さあ、早く行きなさい!」
「わ、分かった! ・・・ところで、何でお前らここに来たの?」
二人はキョトンと顔を見合わせた。
「んー、何でって・・・ねえ?」
「何でって・・・なあ?」
「「面白そうだから!」」
カイトはおもわずずっこけてしまった。
「ま、まあいいや。んじゃあここは頼む!」
「ええ、任せといて!」
『よし、行くぞ!』
カイトとオメガは階段を駆け上がり、最上階のフロアにたどり着いた。
部屋の奥にはコントロールパネルがあり、
誰かがそれを操作している。
「おい!今すぐ町の電気を元に戻せ!」
機械を操作しているその人物はカイトの方に振り向く。
黒いスーツ姿で、水色のロングヘアーが特徴的な女性だった。
「・・・お前が以前わが組織の邪魔をした北条カイトか・・・」
「組織・・・ってことはまさか!」
「私の名はレイン。ブランク社の幹部の一人・・・
北条カイト!お前にはここで消えてもらう!」
レインがメダロッチを構える。
カイト「やっぱりブランク社の仕業だったんだな!
いくぞ!オメガ!」
『ああ!』
「メダロット、転送!」
レインのメダロッチからサメのようなメダロットが転送された。
しかし、若干丸いデザインでそんなに凶暴そうには見えなかった。
脚部の形状から、潜水タイプと読み取れた。
「よし!バトルフィールド、展開だ!」
メダロッチを操作し、バトルフィールドを展開する!
『バトルフィールド展開シマス・・・
今回ノフィールドハ「すなはま」デス・・・』
「げっ!砂浜かよ・・・相性最悪じゃねえか・・・」
「フフ・・・地の利では私が有利だな」
『カイト!必ず勝つぞ!』
「・・・おう!!」
『・・・ロボトルファイト』
「オメガ!右腕のライフルだ!」
『了解!』
先手必勝といわんばかりにライフルを 敵のメダロットへめがけて発射する!
「甘い!」
しかし―ライフルの弾道は大きく反れてしまいかすりもしなかった。
「げ!外れた!?」
『潜水の機動力はダテではない・・・か』
「フン・・・ドリィシャ!頭パーツ!」
『とくしゅ行動「成功2倍」ニヨリ、
ドリィシャの各パーツ成功ガ2倍ニ上昇シマシタ』
(何でわざわざ・・・攻撃しねえのか?)
カイトは疑問に思いつつも、オメガに指示を出す。
「攻撃があたらないってんなら・・・!
オメガ!頭パーツだ!」
そう、カイトは攻撃が当たらないならば、
絶対命中であるミサイル攻撃を使おうと判断したのであった。
『お前にしてはいい判断だ』
オメガはミサイルを放つ!
いくら機動が高いといえど、この攻撃はさけようが無い。
ドリィシャの右腕パーツに炸裂した!
『・・・!』
『ドリィシャ、右腕パーツダメージ53%。』
「ちぇ、破壊できなかったか」
『後一発しか放てないぞ・・・慎重に使えよ』
その時、何故かレインがクスッと笑う。
「な、何がおかしいんだ!?」
「お前たちは・・・さっきの私の行動の意味がまるで分かっていない・・・」
「成功を2倍にしたっていう・・・あれか・・・?」
(さっきの・・・まさか!?)
オメガに悪寒が走った。
「今に分かる・・・!ドリィシャ!右腕パーツ!!」
ドリィシャがブレイク攻撃を放つ―!
その重力の塊はオメガの脚部へと炸裂する!!
『ぐうううっ!!』
『クリティカル!!オメガ、脚部パーツダメージ100%。機能停止』
オメガの脚部の装甲が砕け散る。
「な、なんでブレイク攻撃でこんなにダメージが!?」
「フフ・・・ブレイクはパーツの成功が二倍となる攻撃・・・
だが、とくしゅ行動「成功2倍」を使ったことにより、
パーツ成功の値が4倍となる!」
「つまり・・・?」
カイトは理屈が分からないようだ。
オメガはよろめきながらも立ち上がり、
『バカ・・・!成功が4倍となるということは
その分威力も倍増するという事だ・・・!!』
「その通り・・・!並の装甲なら一発で破壊できるほどにな!」
「なんてこった・・・!」
「脚部パーツが壊れた今・・・私の独壇場だ!ドリィシャ!」
レインは左腕パーツの使用ををドリィシャに命じる。
機動力が無に等しい今、オメガは攻撃を避けようが無い・・・
重力の塊が左腕部に直撃する―!
『うああああっ!』
『オメガ、左腕パーツダメージ100%。機能停止』
「フフフ・・・脆い脆い」
「ちくしょう!このままじゃ・・・!」
その時オメガは、レインに聞こえない程度の声でカイトにささやく。
『聞け・・・カイト・・・
ここでの連戦で・・・オレは新たにメダフォースを覚えた・・・
それに・・・賭けてみるしかない・・・!』
「新しい・・・メダフォース?」
『いいから早く指示をしろ・・・ヤツが来るぞ!』
「何をこそこそと・・・ドリィシャ!止めを刺せ!」
「・・・分かった!行け、オメガ!」
ドリィシャのブレイク攻撃が迫る中、
カイトはオメガを迷うことなく前進させる!
「何!?」
ブレイク攻撃が炸裂すると共に、辺りに煙が巻き起こる―!
そして、メダロッチの音声が静かに響き渡った。
『オメガ、右腕パーツダメージ92%』
「な!?」
辺りに発生した煙が収まり、オメガの姿があらわとなった!
『早まったな・・・!今だ!カイト!!』
「おう!行くぜ!メダフォース、『ダメージだま』!!」
光がオメガに集約し、球状となる!
そしてその光の球を解き放ち、ドリィシャに直撃させる!!
『……!!』
ドリィシャはしばらく持ちこたえていたが、耐え切れなくなり、
光の球へ飲み込まれた・・・
『ドリィシャ、脚部パーツダメージ100%。機能停止。
貫通!右腕パーツ、ダメージ100%。機能停止』
「ダ、ダメか・・・!?」
「フフ、もう終わり・・・」
しかし遅れて、ドリィシャの頭部に異変が生じた!
『貫通!ドリィシャ、頭パーツダメージ100%。
機能停止。機能停止。勝者、カイト』
ドリィシャの背中からメダルが飛び出す。
「よっしゃあ!勝った!!」
喜びのあまりか、その場で飛び上がる。
「ば、馬鹿な・・・この私が・・・負けた・・・?」
レインはその場にひざまずく。よっぽどのショックだったのだろう。
しかし、レインがゆっくりと立ちあがり、カイトに言い放つ。
「だが・・・もう計画は進行している!
お前が何を足掻こうと無駄だ!」
「関係ねー!オレがその計画、ぶっ潰してやる!」
「その威勢がいつまで続くか、見ものだな・・・
では、さらばだ!」
レインは自分のメダルを拾い上げると、
いつの間にか窓の外に待ち構えていた飛行型メダロットにつかまり、
飛び去っていった・・・
『W・R計画・・・もうすでに進行しているというのか・・・?』
「・・・メダロット研究所に行こう。寺原さんに報告しなきゃ」
『そうだな・・・』
カイトたちは下のフロアへと向かおうとするが、
「っと、その前に電力発電所のシステムを
元に戻さないと・・・」
そう言うと、操作パネルへ引き返す。
『お前にできるのか?』
「任せろって!こんなもん原理はカンタンカンタン!」
その頃、ミイネとギンザはというと・・・
「そろそろ・・・終わったんじゃねえか?
静かになったし・・・」
「だと・・・いいんだけど・・・」
一向に現れ続けるキルヘルオウガを倒し続けていた!
『ハ・・・イジョ』
下のフロアからガシャガシャと足音を立てながら
キルヘルオウガがやってきた。
「また来たぁ!早く来てくれカイトーッ!!」
「来るんじゃ・・・無かったかも・・・」
「あ、あれ?こっちか?これか?」
案の定カイトはパネルの仕組みが全くと言って良いほど分かっていなかった。
分からなくて色んなところをいじくり回しているせいか、
エラーメッセージが連発し、一向に治る気配が無かった。
『ため息しか・・・出ない・・・』
Act.5・・・完