Act.4「電力発電所を守れ!(前編)」

 

ひょんなことから、オメガビートル・プロトのパーツを手に入れたカイト。

いつものように放課後ギンザとロボトルをすることになる。

ミイネは見学をするということで、公園に向かっていたのだが―――……

 

 

―――オキナミ電力発電所前―――  

路地で、黒いスーツ姿で水色の髪が特徴的な女性が、誰かと連絡を取っているようだ。

「準備OKです。社長」

「よし……ごくろう。『レイン』……今回の目的は分かっているな?」

「ここを暴走させ、町を混乱に陥れる―――……

 そして、アレをおびき寄せる……ですか?」

「それでいい……では、作戦を開始しろ」

「はい」

レインと呼ばれたその女性は路地から電力発電所の裏口へと回る。

だが、そこには警備メダロット『ブレイブポリス』がいた。


『ココハ関係者以外立ち入り禁止デス、IDカードノ提示ヲ……』

「……メダロット、転送」

レインは警告をさえぎり、メダロッチからサメのようなメダロットを転送する。

「……バトルフィールド、展開」

そして、間髪いれずにメダロッチを操作しバトルフィールドを展開し始める。

『バトルフィールド展開シマス……

 今回ノバトルフィールドハ「まちなか」デス……』

『―――ロボトルモードに移行』

さすがに異変を感じ取ったブレイブポリスは、戦闘態勢をとる。

『……ロボトルファイト』

だが、その宣言の瞬間―――!

『クリティカル!ブレイブポリス、頭パーツダメージ100%。機能停止。機能停止』

『!? ナ、ナニ……ガ……』

ブレイブポリスの背中からメダルが飛び出す。

一瞬の出来事か、何が起きたか分からずに敗北をしたようだった。

「―――通らせてもらおう」

レインは発電所の中へと入っていった―――

 




―――オキナミ自然公園―――  

カイトたちは、公園に着くや否や、中央の広場へと移動する。

カイトとギンザはお互い向かい合って立つ。

ミイネはその間で様子を見ている、といった感じだ。

「行くぜギンザ!オレのオメガを見てびびんなよ!」

「ハッ!そりゃこっちの台詞だ!」

「まあ二人ともがんばんなさい」

両者はメダロッチを構え、

「「メダロット、転送!」」

(あのウシ型なら……いける!)

(どうせまたスカイプテラだろ、楽勝だな)

双方がそう考えてるうちにメダロットが転送し終わる。

と、同時に、

「「ええっ!?」」

二人はお互いのメダを見て、声をあげて驚く。

そこにはなんと、自分たちの知る由もないKBTとKWGのメダロットが転送されていたのだから。

「てめぇ!いつKBTのパーツを手に入れやがった!」

「そっちこそ、KWGじゃねえか!ウシはどうした、ウシは!」

「俺はおとといメダロット社に行って、

 親父の友達って言う人にもらったんだよ!

 『アルファスタッグ・プロト』っつうヤツだ!」

「オレだってメダロット社に招待されて、

 一番偉いって人にもらったパーツなんだぞ!」

 名前は『オメガビートル・プロト』だ!」

「ん、待てよ……まさかその人って……」

「「寺原さん!?」」

見事なハーモナイズであった。

「何でお前が寺原さんを知ってるんだよ!」

「オレはこの前行った時に知り合いになってだなあ……」

二人は言い争いを始めた。

「あの〜もしも〜し……」

ミイネは声をかけるが二人は気づかず、ギャーギャーと言い合いを続けている。

「……帰ろうかしら」

『ま、まぁまぁミイネちゃん……』

争いの主の、オメガとヴルムでさえおいてけぼりだ。

『お互い大変ですねェ、旦那……』

『……全くだ』

耐えられなくなったのか、カイトがいきり出し、

「あ"ーもう!んなことはどうだっていい!ロボトルで勝負だ!!」

「いいぜ!どのみち俺が勝つからな!」

「言ってやがれ!行くぞ!バトルフィールド、展……」

と、言いかけたそのとき、カイトが何かに気づく。

「何だ……あれ、煙!?」

ミイネもそれに気づき、

「ホントだ!ちょっと待って、何か起きてるか調べてみるわ」

ミイネはメダロッチのニュース速報をチェックしようとしている。

ミイネのメダロッチはメディアに特化した機種で、通常のメダロッチより少し価格が高い。

ミイネは甘いものが好物なので、お店の情報を取りいれれると言うので、

この機種にしたと言うが…… 

「えーと、オキナミ電力発電所の電力システムが暴走……!?」

「電力発電所って…… そう遠くないじゃねえか!」

カイトの頭の中に寺原の言葉がよぎる…… 

―――――ブランク社に気をつけろよ、カイト君―――――

「―――――まさか!?オメガ、戻れ!」

カイトはオメガをメダロッチに戻すと、すぐさま走り出した。

「おい、カイト!どこ行くんだよ!」

「電力発電所の方へ行ってくる!ごめん、ギンザ!」

「何でまた急に!?危ないわよ!」

『……カイト、最短ルートで行くぞ。マップを出す』

「よし、頼むぜ!」

カイトはすぐに見えなくなってしまった。

「なんだか知らねえが面白そうじゃねえか!俺たちも行くぞ!ヴルム!」

『了解です親分!』

ヴルムをメダロッチに戻すと、ギンザも後に続き、走り出す。

「ふーん……なんかあたしも行きたくなってきちゃった!行くよ、コル」

『ええっ!そんな、危ないよ!』

「いいから!じゃ、マップお願いね」

『……しょうがないなぁ』

ミイネもギンザの後を追っていった…… 

 



―――数分後―――

カイトは電力発電所前へとたどり着いた。

遠くから見えたケムリは最上層から上がっているのが見える。

「屋上の管理コンピュータがおかしいって訳だな!」

『……この事件は、ブランク社が引き起こしたものなのか……?』

「分かんねえケド…… とっさに寺原さんが言っていたこと思い出してさ……

 いてもたってもいられなくなっちまった」

正面の入り口にはいつ飛び火するか分からない火花が散っている。

『……どうやら、裏に通用口があるようだ。そこから入るぞ』

「ああ!」

カイトは裏口に回り、中へ入る。

「何だここ……暗くて何も見えねえ!」

『メダロッチのライトをつけて進めばいいだろう』

カイトは指をパチンと鳴らし、

「そっか!その手があった!」

『メダロッチの機能ぐらい把握しておけ……』

カイトはメダロッチのライトをつけ、奥へと進みだした。

しばらく進むと、壁に埋め込まれたはしごが眼前に映った。

『どうやらこの上から中に入れそうだな』

カイトははしごを登るとハッチがあったので、それを開けて外へ出た。

「よっ……と」

すると発電所のロビーらしき場所に出た。

ところどころに警備メダロットが倒れている。

どうやら今日は全て警備はメダロットに任せているらしく、

ヒトの姿は確認できなかった。

その分厳重に警備が固められていたハズなのだが……

「ひでえ……」

『……急ぐぞ。カイト』

カイトはエレベーターの前へ行くが……

「やっぱエレベーターが動いてない……階段で行くしかねえか」

カイトは階段の方へ向かう。

しかし、そこにはいつか対峙したオーガ型メダロット

『キルヘルオウガ』がいた。しかも3体でチームを組んでいるようだ。

「何だこいつら……メダロッターなしでも戦えんのか!?

 それにこの数……いけるか!?オメガ!」

『この前のヤツが3体に増えただけだ。問題はない』

オメガは余裕たっぷりの様子だ


『ギギ……ハ……イジョ』

キルヘルオウガ達は戦闘態勢をとった。  

「よっしゃ!んじゃまぁ、やるか!メダロット転送!」

オメガがメダロッチより転送されてきた。

「んでもって、バトルフィールド展開ッ!」

カイトはメダロッチを操作しバトルフィールドを展開する。

『バトルフィールド展開シマス……

 今回ノフィールドハ「さんち」デス……』

『速攻で終わらせる……!』

オメガは拳を強く握り言う。

『……ロボトルファイト』

「リーダー機を狙うぞ、オメガ!左腕だ!」

『わかった。……くらえっ!』

カイトの指示とともに、オメガはガトリングを放つ。

無数の弾がリーダーのキルヘルオウガの頭パーツに命中する!

『……!!』

『キルヘルオウガA、頭パーツダメージ70%』

キルヘルオウガは軽くのけぞる。

『くっ……破壊できなかったか』

そしてキルヘルオウガAはすぐさま右腕のハンマーを振りかざす!

回避行動が間に合わず、オメガの右腕に直撃した!

『ぐああっ!』

『オメガ、右腕パーツダメージ58%』

次々とリーダー機以外であるキルヘルオウガB,Cが襲いかかる!

Bの右腕ハンマー攻撃!

思った以上に素早く、回避が間に合わない! 

『オメガ、左腕パーツダメージ79%』

Cの左腕ソード攻撃!!

防御態勢に移行する前に脚部パーツを切り裂く!! 

『オメガ、脚部パーツダメージ48%』

『ぐぅぅっ!!』

オメガは倒れかけたが、後ろに飛びのきながら体を立て直した。

「オメガ!」

『……大丈夫だ、指示を!』

カイトはリーダー機ががむしゃら行動ハンマーを使った事を見いだし、指示を出す―!

「今、リーダー機はスキだらけだっ!ライフルで決めろ!」

『了解!……行けっ!』

オメガの放ったライフルは見事、キルヘルオウガAの頭パーツを打ち抜いた。

『……ギギギ……ギ』

『クリティカル!キルヘルオウガA、

 頭パーツダメージ30%。機能停止。機能停止。

 リーダー機機能停止ニヨリ、勝者、カイト』

リーダー機がゆっくりと崩れ落ち、他のキルヘルオウガも同時に停止する。

『スラフシステム作動シマス……』

スラフシステムにより、オメガの損傷パーツが修復してゆく。

『ふう……』

カイトは腰を落とし、

「ふいー……何とか勝てた……」

『……この先もおそらく敵が待ち構えているはずだ。

 おそらく時間稼ぎだろう…… 先を急ぐぞ』

オメガの修復が終わると同時にカイトは立ち上がる。 

「わかった!早く最上階にいるヤツを止めないと!」



カイトとオメガは次の階層へと進んでいった―――……

果たして最上階では何が待ち受けているのか……!?



Act.4……完
 

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