Act.3「ブランク社」



あのカオスメダル強奪事件から数日後…… 

カイトはオメガのメダルをメダロッチにへ入れいつものように、

通学している小学校へ向かうところだ。

カイトは頭の後ろで手を組みながらオメガに言う。

「あんな事が起きたなんて今でも信じられないぜ……」

『……ああ』


「でもなあ」

『……?なんだ?』


「その後のことも、信じられねえよ。オレには」

『……オレだって信じられないさ』





―数日前―

メダロット社に戻ってきたカイト達は、2Fにある寺原の研究室へ訪れていた。

「そうか、取り戻せなかったか……」

「ゴメン、寺原さん……」

カイトが申し訳なく頭を下げる。

「気にしないでくれ、済んでしまった事はいくら悔やんでも仕方がないよ」

「……はい」

『……一つだけ気になることがある。

 犯人は「我がブランク社」と言っていた』

オメガの言葉に寺原は驚き戸惑い、座っていたイスから急に立ち上がり、

「ブランク社だって……!!」

カイトは驚き、一瞬ビクっと身を引いてしまう。

「ブ、ブランク社って一体何なの!?寺原さん!」

フウ、と寺原は落ち着き払うと、静かにイスに座りなおした。

そして静かに語り始める。

「ブランク社とは……さまざまな分野の商品を扱う大規模な会社だ。

 しかし、裏の顔は世界破滅をもくろむ組織となっているんだ」

「なんだって……!」

『待て…… 何故、そんなことを知っているんだ?』

オメガが疑問に思い、聞き出す。

「それは、僕がブランク社の人間だったからだ」

「え!そうだったの!?」

「……僕は、偶然聞いてしまったんだ」


―――3年前のことだった。

僕は最上階にある社長室に報告書類を届けるところだった。

ドアをノックしようとすると、社長と1人の女の声が聞こえてきたんだ……

「……で、どうなっている?」

「はい。順調に作業は進んでいます、社長」

「よし……あと3年だ……

 あと3年ですべてが動き出す……

 世界創造計画―――W・R(ワールド・リバース)計画がな!」

その会話を聞いた僕は次の日、会社を去った―――


カイトは良く分からないのか、首を傾げる。

「んー、その計画って何なの?」

「自分たちの思い通りになるような……

 『世界』を創るという事なんだと思うんだけど……

「じゃあカオスメダルを奪ったのは……!」

『おそらく、カオスメダルの強大な『力』とやらも必要というらしいな』

「そうだろうね……いずれその事も話すよ」

「ところで寺原さん……オメガのパーツなんだけど……」

カイトが後ろめたく言う。

「ああ、よかったらこれからも使って欲しいんだ」

「ええ!?いいんですか!」

「うん、ちょうどテスターを探してたところだからね。

 異常があったら連絡してくれ」

「やったあ!いろいろありがとう!寺原さん!」

『オレからも礼を言っておく』

「……ブランク社には気をつけろよ、カイト君」

「はい!」



「……ブランク社かあ」

『3日前戦ったあのメダロット……

 あれが3年かけて作り上げたメダロットだろうか?」

「多分違うと思う。1年もかけりゃあんなに――――――」

キーンコーンカーンコーン……

カイトがそう言いかけたとき、学校のチャイムがなる音が響く。

「や、やべ!そういえば寝過ごして時間ギリギリなの忘れてた!!」

『やれやれ……』

オキナミ小学校の校門は予鈴には自動で閉まるようになっており、

下校時間になると開くというシステムになっている。

急な用や早退など、閉まっている時に門を開く場合は

チャイムを鳴らして許可をもらう必要があるのだ。

なんとかカイトは猛ダッシュで校門がしまる前に抜けた。

「ふーっ……ぎりぎりセーフ……」

カイトはため息をついて言った。

「ちょ、ちょっと待ってー!」

突然、カイトの後ろから声がした。

その声の主は、ハネが強い髪型で、

前髪の左側を三角形の形をしたヘアピンで止めている。

その少女は校門の隙間ギリギリを抜ける。

そして校門が完全に閉まった。

「あー、疲れたぁ……あれ?カイトじゃない?」

その少女の名は、『篠原ミイネ』。

カイトと同じオキナミ小学校に通っている。

そして、カイトの幼馴染でお隣さんでもある。

ちなみにカイトとギンザとミイネの三人は昔からの幼馴染なのだが……

「お、お前は……ミイネ!!」

「何よ、急に改まって」

校舎の方角へ歩きながら話す。

「そういやなんであんたは遅刻したの?」

「う、うっせえな……なんだっていいだろ!」

「どうせ寝坊でしょ?だっさいわねー」

ミイネは笑いながら言う。

「ぐぅ……じゃあお前は何で遅刻したんだよ」

「……秘密」

「どーせ寝坊でもしたんじゃねぇの?」

ミイネが図星を突かれたように戸惑う。

「ち……違うわよ!」

「やっぱそうなんじゃねえか!」

「違うって言ってんでしょこのバカカイト!」

「うっせえ!ブスミイネ!」

カイトとミイネは、喧嘩し始めた。

その直後、ミイネのメダロッチから声がする。

『ミイネちゃん、そろそろ教室へいかないと……』

「あ!ごめんごめん。じゃあ行きましょ、コル」

『うん!ミイネちゃん』

ミイネはメダロッチの中のパートナーであるコルとともに、 学校の中へ入っていった。

「おい!待てよミイネ!」

カイトも遅れて学校の中へ入っていった……



―放課後―

授業を終えた生徒たちは、ぞろぞろと教室を出て行く。

(うしし……このパーツさえあれば今日こそ……!)

カイトは荷物をまとめ、帰ろうとするギンザに声をかけた。

「ギンザ!ロボトルで勝負だ!今日こそ負かしてやる!!」

「おー、望むところだぜ弱虫!」

すると後ろから、

「たまにはあたしも見に行くわ」

「「ミ、ミイネ!」」

カイト、ギンザが声をそろえる。

「何よ!あたしが来たら不満だって言うの?」

ミイネがむくれて言う。

「いやいやそんなことはないぜ!

 見とけよミイネ!俺がこいつをボコボコにするところをよ!」

カイトはカチンときたのか、

「うっせえ!そうなんのはお前だギンザ!

 今日のオメガはちょっと違うぜ!!」

「ほう・・・言ってくれるじゃねえか!

 じゃあいつもの公園に移動するぞ!」

3人はカイトとギンザがいつもロボトルする公園に向かって歩いていく。

すぐそこにブランク社の影が迫っていることも知らずに―――




Act3……完

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