メダロットA第二十一話

Act.21「思考の戦い」


ギンザ、カイトと公園にてロボトルの特訓の後、

駅前のケーキ屋の前でブランク社の幹部のリズとロボトルすることとなったミイネ。

卑劣ともいえる戦法で翻弄されるミイネであったがコルの一喝もあってか冷静さを取り戻し

何とか戦局は五分となった。が―――……

「レフス!頭パーツ!」

リズはレフスに頭パーツの使用を命じる。

すると、レフスの前に大きいカード型の4つのパネルが地面に並び、それぞれが時計周りに点滅し始めた。

「な、何アレ……」

ミイネが戸惑っているうちに点滅が終わり、ひとつだけカードが残った。

そのカードは中身を晒すことなく地面へと沈む。

「アハ!楽しみなワケ……」

意味ありげなセリフを吐き、リズは不敵に笑う。

「くっ……なにか分からないけど行くしかないわね…… コル!」

『うん!』

ミイネはコルにタイムアタック攻撃を命じる!

しかし、攻撃を放ったその時―――!警告音とともに先ほど地面に沈んだカードがコルの目の前に出現した。

そしてそのカードはコルに向けて表にくるりと返された。そこに書かれていたのは……

「行動……誘発……!?」

ミイネは思わずつぶやいたと同時にしまったと後悔した。そう――――……

「アハッ!あったりィ!」

それを聞いたリズはレフスに左腕の使用を命じる!

左腕のカードをはがしすかさずコルの右腕に貼りつけた!

『くっ!』

「効果を言ってくれてありがとねぇ、これでアンタの負けは確定ってワケ!アッハッハ!」

そう、コルの右腕にはパーツを使用すると爆発するカードが張り付き、

さらには行動誘発という行動が制限される症状が付加されている。だが――――

「何言ってんのよ、あたしはまだ『行動誘発』とまでしか言ってないわよ」

ミイネがサラリと言う。

「はっ!何を言ってるワケ?後はこっちがアンタが攻撃するのを待つだけってワケ」

「攻撃はするわよ、攻撃は……ね!」

ミイネがそう言った瞬間、レフスが突然バランスを崩す!

「な……!?」

「コルッ!」

『りょーかい!』

驚くリズをよそに、ミイネはタイムアタック攻撃を命じた!

レフスはバランスを崩したため回避が間に合うわけもなく、左腕に攻撃が直撃する!

『ギ……!!』

それと同時に、コルの右腕に付着したカードも爆発を起こす!!

『くっ……!』

コルは爆風で少しよろめく。

『コル、右腕パーツダメージ100%。機能停止』

『レフス、左腕パーツダメージ100%。機能停止』

そして、メダロッチの音声が同時に響き渡った。

「……ゴメン、コル。ムチャしちゃった」

『大丈夫だよ、ミイネちゃん!うまくいったじゃない』

そんな会話をよそに、リズは動揺を隠せずミイネに問いただす。

「ま、また!?今度はいつ命令したってワケ!?」

「右腕を使うって中断された時だけど?」

ミイネはまたしてもさらりと即答した。

「ていうか、アンタさっき……」

「そうね、真っ向勝負で勝つって言ったわね」

リズの言葉をさえぎり、ミイネは説明を始めた。

「アンタは絶対あたしを利用して勝とうと思ってるから、

 さっきあんなことを言えばまた騙せるって思ったでしょ?

 案の定またそうしたから、あたしもそうしただけよ。

 頭パーツの効果は予想外だったけど……ね」

「ぐ……!」

リズは何も言えなかった。

「ま、これもある意味真っ向勝負よね……」

レフスとコルの状態を見て、ミイネが言った。

痛み分け、という表現はおかしいが二体の状態は同じ……

残されているのは頭パーツのみ、ということは―――

「メダフォース、ってワケねぇ……」

「……そうね」

今までの攻防からして、二体のメダフォースは消費量が少ないものなら発動できるほどにたまっているはずである。

「いろいろ予想外だったケド、これで決めるワケ!」

「それはこっちのセリフよ!」

二人がそれぞれメダフォースを使用しようとしたその時―――!

「……そこまでだ」

「「!?」」

その声を聞いた二人は声がした方へ振り向く。

そこには、黒いスーツを着た銀がかった短髪の男がいた。

「仲間―――!?」

ミイネのつぶやきをよそに、男はリズの前に出る。

「……もういいだろう、帰るぞ。ボスがお呼びだ」

そう言うと男はバトルフィールドを解除し、リズの腕をひっつかんでこの場から離れようとする。

「ちょっとぉ、ゼンジ!ジャマしないでほしいワケ!久しぶりにクチ開いたと思ったら……」

リズは引きずられながら文句を垂れる。だが、男の方が力が負けるはずもなく……

「……アンタ!」

リズが引きずられながらミイネに向かって叫ぶ。

「今回は、引き分けにしてあげるワケ……でも……次は……」

最後まで言い終えることができないまま、男とリズは見えなくなってしまった。

「プッ、何アレ……」

ミイネは失笑する。

『ミイネちゃん……』

「……帰ろっか、コル」

ミイネはそう言うと、コルをメダロッチに転送する。

(寺原さんに頼んでみようかな…… このままじゃ、ダメかも)

今回の戦いで何か掴んだのかミイネはいろんな考えを巡らせ、帰路に着いたのだった。

 

 

 

ー翌日 オキナミ公園ー

「さーて!今日も張り切って特訓いこうぜ!」

カイトが腕をふり上げミイネ、ギンザに向けて叫ぶ。

「おお!」

「ええ!」

いきおいよく返事する二人だったが……

「アレ?なんか今日は二人ともすっげえやる気じゃん!珍しいな」

ドキッとした二人は、

「「そ、そんなことない「ぜ!」「わよ!」」」

「「え?」」

声がそろった事にギンザとミイネは驚くとともに、ハッと気づいたようにして話す。

「アンタ、まさか……」

「お、おまえもかよ?」

「何のことだよ?オレにも教えろよ」

カイトが訳を知りたそうに二人の輪に入ろうとする。

「い、いいから!さ、今日も始めようぜ」

「そ、そうそう!何でもないわよ!始めましょう!」

明らかに様子がおかしい二人だったが……

「ま、いっか!よし!やろうぜ!!」

((バカでよかった))

二人は、そう思ってしまった。

((というか、なんで隠したんだろ))

こうも思ってしまったのであった。

 

 

タイムリミットが三週間を切った中、

ミイネはリズとのロボトルの中で戦いに向けての覚悟を確立、足りないものを発見した。

そしてギンザに何があったのか―――!?

 

 

 

 

Act21・・・完

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