メダロットA第十五話

メダロットA第十五話
Act.15「ホロビ ノ ウタ」


ラスワールがモニターから「アムグス」と叫んだと同時に、コピーであるメタルコアが独りでに手を離れ
る。

そしてそのまま宙へ浮かび、消えてしまった。

そしてカイトたちの頭上から巨大な何かが姿を現す―――!!

それは円柱のようなカタチをした、不気味なモノだった……!

カイトは圧倒されたのか、思わず後ずさりをする……!

「何なんだよ……!! アレは!!!」

『あれこそ、かつての争いで使われた…… 史上最悪のメダロット…… 移動要塞兵器『アムグス』!!』

「かつての争いってなんなんだ!?」

「オメガ、あんたどうしちゃったのよ!」

オメガが何かを知っている事は明らかだからか、ギンザとミイネが尋ねる。

『すまない、今は話せない…… 後で話せたらきっちり話そうと思っている』

「コイツをなんとかしなきゃ話せないってコトだろ!?」

『そうだ……』

「しゃあねぇな! メダロット転送!」

ギンザがヴルムを転送した!

『親分!まってやしたぜ!』

『ギンザ……!』

「たっぷり聞かせてもらうわよ! メダロット、転送!」

続けてミイネもコルを転送する!

「ミイネちゃん、頑張るね!」

『ミイネ……!』

「んー……」

カイトがボリボリとアタマをかく。

「……オメガ、お前に聞きたいことは山ほどあるけどよ」

『カイト……』

「今は聞かねーでやるぜ! この世界を……! 守るんだ!!」

カイトがそういうと同時に、オメガが光に包まれ再び2対の赤い翼を持った姿へと変化した!

『……ああ!!』

『ムダなコトを…… 消え去るがいい……!』

 

 

研究所内

アムグスが出現したためか研究所全体がふるえ、ショックを受けていた寺原も流石に反応を隠せなかった。

「なんだ、今のは…… まさか!!」

『ヤツの言う…… 何かが復活したようだな……』

寺原を気遣ったのか、ドラグロイは研究所内にいた。

「くっ……!」

『お主は……どうするんだ』

「今の僕が行っても…… 何も……!」

『拙者は行くぞ……!!』

ドラグロイは右足をひきずりながらも行こうとする。

「ムチャだ!キミの体はもう……」

『拙者にもできる何かがあるなら……! 力にならなければならない! カイトには恩がある……!』

「……!!」

(そうだ……! そうだった……!! 空斗さんのためにもココでカイト君を失うわけには……!!)

寺原はドラグロイの前にしゃがみ、おんぶの体制に移る。

「乗ってくれ! こんな僕にもきっと何かできることがあるハズだから……!」

『……恩に着る』

 

 

「バケモノ……かよ」

カイトたちがいくら攻撃を加えても、アムグスと呼ばれる巨大な物体にキズ一つつかなかった……

そして脅威である、時に一部から銃口が飛び出し放たれる光線―――!

すさまじい速度でヴルムの頭部を打ち抜いた!!

『すいやせん……親分』

「ヴルムー!!」

『ヴルム、頭パーツダメージ100%。機能停止』

先ほどミイネのコルもこの光線に一撃でやられてしまった……

「そんな、ギンザまで……!!」

 「畜生ォ……!」

ギンザはくやしさからか拳を地面に打ち付け、悔やむ。

『残るはお前だけか…… トゥアルム』

『く……!』

「カイト君!!」

寺原がドラグロイをおぶってカイトたちの元へとやってきた。

『拙者はいい、降ろしてくれ』

寺原はうなづき、ドラグロイをそっと地面へ降ろす。

「寺原さん!大丈夫なの!?」

「ああ、大丈夫だ。 それより、アレを何とかしないとね」

『フン! いまさら何を…… 何とかできるとでも言いたいのか』

できるさ……!」

『何!?』

「カイト君!ジェネレート・システムだ!」

「は、はい! オメガ!」

『おおおおおっ!!』

オメガの体についている緑色の装置が輝きを増す―――!!

「メダフォースを思いっきり、今から言うタイミングで打ち込んでくれ!」

「はい!!」

アムグスの一部から銃口が飛び出したその瞬間!!

「今だ!」

「いっけえええええ!オメガ!!「いっせいしゃげき」!!」

『食らええええっ!!』

オメガのメダフォースはアムグスの銃口めがけ放たれる―――!

見事に直撃し、そのまま銃口ごとアムグスに風穴を開けてしまった!

『ばかな……!!』

「お前の持っているメタルコアが負の感情を元に力を引き出しているのは分かっていた事!

それならば正反対の力をぶつければダメージは与えられる!」

『……!!』

「そして外部の装甲が硬ければ、内部から露出する銃口ごと叩くしかないと考えたんだ」

「すげえ!俺達がどうやってもブチ破れなかったのに……!」

「寺原さん…… やっぱりスゴイわ……」

ギンザとミイネは寺原の分析力に思わず感心する。

「ありがとう!寺原さん!」

「いや、僕に今できる事はコレくらいしかないからね…… 遅くなってすまない」

しかし、アムグスは大きな風穴が開いているにもかかわらず、機能停止をする気配すら見せない―――!

『まだだ……! 来るぞ!』

『不完全なら仕方ない、が……  分が悪い……! アムグスの真の姿を見せるしかないようだな』

『馬鹿な……! 真の姿なんてないハズだ!』

『それはそうさ…… あの後、改良を施したのだから』

『なんだと……!!』

『さあ、今こそ目覚め――――――

―――ダメです

不思議に響き渡る声とともに、空から何かが静かに降りてきた。

しかし、光り輝いており、まぶしくて姿を把握できない。

「何だ!?」

―――今、この存在を完全に復活させるわけにはいかない

『お前はまさか…… 『ペイロン』か……! くっ!空斗のヤツめ!! 

あらかじめこうなる事を想定して―――

ラスワールが何か言いかけたが、モニターの通信がブツリと切れた。

「父さんの名前をアイツがどうして……!?」

そう、空斗とはカイトの父「北条 空斗」のことだった。

そして光り輝く何かがカイトたちへと振り向く。

―――今から私の『歌』であなたたちを安全な場所へと飛ばします この場にいては無事ではすみません

そういうとペイロンと呼ばれた「何か」は歌い始めた。奇妙かつ不思議なメロディーだった……

「歌!? ……な、なんだ……!?」

「急に眠くなって…… きたわ」

『ダメだ…… 意識が保てぬ』

ギンザ、ミイネ、ドラグロイがつぎつぎにその場に倒れ、眠りについてしまう―――

「君は……一体…… う……!」

寺原も倒れこむようにして眠りについてしまった……

「くっ……そ 待て…… ここで寝ちまった……ら 何も聞けね……」

カイトも寝てしまわないようにふんばるが、地面に突っ伏して寝てしまった……

『待て……! ペイ……ロン! オレは…… まだ……』

オメガもその場に倒れこむと、その機能を停止した。

そして倒れている全員が光の玉のようなもので包まれた。

―――あなたたちは希望です その時まで どうか……

その光の玉は浮き上がると、はるか上空まで飛んでいった―――……

―――さあ 行きましょう ここは我々にふさわしくない

ペイロンはアムグスに触れると、どこかに消え去った……

 

 

 

 

「おのれ……!空斗のヤツめ……!」

「んで?どおすンだよボス」

「まぁいい…… ならば完全なものにしてペイロンを消し去るまで!」

「本物を回収する、と言うわけですね」

「ああ…… そのためにも、だ」

「ワタシらが必要ってワケ?」

「分かってるじゃないか」

「……」

「相変わらずしゃべんないワケ?ゼンジ」

「……」

「フン…… ペイロンはいずれ彼らを解放するだろう…… その時にまた作戦開始、という訳だ

ハッハッハッハ!!」

 

 

 

 

その日、オキナミ町は謎の光り輝く存在、ペイロンによって救われた……

だが、これで終わったわけではまったくと言っていいほどない。

さらに、さまざまな謎がうずまく……

オメガはどうして何かを知っていたのか?

本名?のトゥアルムとは?

空斗は昔何をしたのか? そして寺原との関係は?

他にもあるが、それは次章で明らかになるかもしれない―――

 

 

研究所の近くにいた見物人が覚えていたというもの、それは奇妙な円柱と、歌だったという……

―――真実を知ったとき、カイトたちは何を思い、どうするのか……

 

 

 


第一章 カオス・リボーン ・・・完


<ちょっとあとがき>

うん、スイマセンとしか言いようが無い(

焦らしプレイです、ハイ(

そうなんです、僕がホントにやりたい物語は二章で展開するのです!

再開の5月まで、ハンカチを食いしばってお待ちください!(

それでは!!

 

 

Act15・・・完

 

 

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