メダロットA第十三話
Act.14「復活」


絶体絶命のさなか、カイトはメタルコアの真の力を引き出し、オメガを覚醒させた!


パワーアップしたオメガはカースネイルを圧倒する……

ステージの針山のしかけはオメガたちの攻撃の爪あとからか、いつの間にか起動しなくなっていた。

「クソが……!! 調子に乗りやがって……!!」

破損した右腕から煙をあげながらカースネイルが左腕を振り上げ襲い掛かってくる!

「オメガ!!」

『……遅い!』

オメガは飛び込んできたカースネイルの左側に回りこみ、そのままガトリングを乱打する!!

『ガ……! ギ……!!』

『カースネイル、左腕パーツダメージ100%。機能停止』

左腕の装甲がはじけ飛ぶ!!

ダヴが歯軋りをし、

「何なンだ……」

「……!」

「何なんだよその力はよぉぉぉ!!」

動揺からかダヴは感情をあらわにして叫ぶ。

そしてその叫びとともにカースネイルの破損していた両腕パーツが復活した。

「くそっ!キリがない!」

『いや……そうでもないぞ』

「え?」

オメガは落ち着いた様子で続ける。

『さっきもだが両腕を壊した後パーツが復活していただろう?』

「? ……あ!」

『そうだ。おそらくは両腕復活パーツ…… 両腕が壊されたときのみ発動可能なんだろう』

『そうか…… そういったパーツなら回数は少ないハズ……!』

ドラグロイがオメガの横に立ち、割って入る。

『もう回数は残ってはいまい……!』

オメガの冷静な分析のなか、ダヴはブツブツとつぶやいて攻撃の命令すらしなかった。

しかし、その呟きがぴたりと止まると……

「……このクズどもが」

『来るか……!!』

「もうブツなんざカンケーねぇ!! てめぇらぶっ殺してやらああああ!!!」

ダヴの叫びがビリビリとこだまする!!

「オメガ!」

『カイト!ケリをつけ―――

―――そこまでだ

「え!? なんだ?」

「何この声! アタマに直接響く……!」

ギンザとミイネだけに限らず、どうやらこの声はこの場にいる全員に聞こえているようだ。

「チィ、ボスか…… クソ、もう少し楽しめると思ってたのによ」

ダヴはそう言うとテレポート装置のようなものを使い、姿を消した。

「あの野郎逃げやがった…… それよりどうなってるんだ!?」

カイトが驚いているのに対し、オメガはこれを知っていたかのように答える。

『いや…… これはメダロッチからの特殊電波からそう感じているだけだ……!!』

―――記憶が戻ったかな?オメガ君…… いや……『トゥアルム』

『キサマの声を忘れるわけがなかろう……!! ラスワール!!!』

「オ、オメガ……!?」

復旧を終え、声を聞いたのか寺原が研究室へと戻ってきた。

「ラスワール……!キサマ!!」

―――やあ寺原君じゃないか…… キミには感謝しているよ

「感謝…… だと!?

―――キミがプロト体を持ち出してくれたおかげで…… 『適合者』を探す手間が省けた

―――そして……だ もう覚醒も済ませてしまっている…… 感謝しきれないよ

「あ……あ……!」

―――流石 私の……

「やめろ……! それ以上言うな!!」

 

―――優秀な 助手だ

「うあ…… うああああああああああ!!!」

寺原は普段出さないような金切り声で絶叫した……

「寺原さん!! くっそお、テメエエエエエ!!」

―――北条 カイト君…… 私の計画に協力してくれてありがとう

―――おかげで、だ ようやく計画は完了する…… 『禁断の存在』を復活させることによって、ね

『キサマ、まさか…… 『アレ』 を・・・!!』

「アレってなんなんだ? ていうかオマエさっきから変だぞ!?聞いた事もないようなコトも知ってるし……」

『後で話そう…… 話せたら、だがな ……ぐ!?』

「オメガ!?」

オメガの胸のハッチからメタルコアが飛び出した。

それと同時にオメガがもとの姿に戻り、ひざまづく……

『ハア……ハア…… そういう コトか だが……!!』

オメガは立ち上がってメタルコアを手に取り、強引にハッチに押し戻した!

『キサマの思い通りにはさせん!!』

―――そうだろうな そう来ると思っていた…… ちょっと外に出てくれないかな そこからじゃ見えないだろう?

「外!?」

『行くぞ! 寺原はほうっておけ、あの状態ではムリだろう……』

寺原はヒザと両手を床に着き、絶望した表情でうつむいていた……

「そうね、行きましょう……」

カイトたち3人は研究所の外へと急いだ。

すると上空にモニターのようなものが映し出され、初めてラスワールの顔を確認することができた。

寺原より明らかに年上で、威厳にあふれている感じだった。

『では本題に入ろうか、 コレを見たまえ』

ラスワールは球体の物体を見せ付ける。

『それは…… まさか……』

『そう…… 『メタルコア』だ 君たちが私の部下と戦ってくれたときの戦闘データを元にして作り上げた』

「そん…… な じゃあ寺原さんだけじゃなくオレも利用していたってことになるのかよ!!」

『その通り』

「チクショウ…… チクショオオオオオ!! テメェぜってぇ許さねぇ!!」

『ぐ……!』

オメガの装甲が黒く染まりかけたのを見たのか、ギンザが押さえてカイトを静止させる。

「落ち着け、カイト! またオメガが黒くなっちまうぞ!!」

「分かってる……! 分かってるケドよ……!」

ミイネはラスワールに向かって言い放つ!

「私たちは…… アンタのコマなんかじゃない!!」

カイトはギンザの押さえを静かに振り払い、モニターのラスワールを睨み付け―――

「……オマエの好きな様にはさせない!! オレたちは世界を守ってみせる!!」

『フフフ……やれるものならやってみるがいい!! まだ不完全だが…… 世界の一部を作り変えることは可能なのだ』

『ついに来るか……! 最悪の存在……!!』

オメガがいつの間にか震えていた腕を押さえながら言う……

 

『出でよ、『禁断の存在』――― 『アムグス』!!』

 

 

 

 

 

―――『アムグス』とは一体……

 

Act.14・・・完 

 


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