Act.13「Ω」


カイトたちが奮闘しているころ、寺原はというと……
研究所のシステム復旧に没頭していた。

ダヴとカイトのロボトルが開始された直後、研究員からシステムの危険の報せを聞き、

すぐさまシステム管理室へと向かったのだった。

「寺原博士、こっちの修復をお願いします!」

「ああ、分かった!すぐ行くよ!」

(カイト君……!君なら必ず気づくはずだ!メタルコアの正しい力に! 頑張ってくれ……!)



―研究所2F―

カースネイルのとどめと言わんばかりのデストロイがオメガを襲おうとした時―――!

『くっ!』

「何ィ!?」

直前でドラグロイがオメガの前に飛び出し、デストロイがドラグロイに直撃した!!

『ぐううううっ!』

衝撃でドラグロイが吹っ飛ばされ、倒れこむ……!

『ドラグロイ、右腕パーツダメージ100%。機能停止』

「ドラグロイ!!」

「ポンコツはポンコツどうしかばいあいってか? ケッサクすぎんぜ、おまえら!ヒャハハハハ!」

ダヴが嘲笑する中、ドラグロイはよろめきつつも立ち上がる。

『拙者は大丈夫だ……だが、このままでは確実にやられてしまう……!』

「ちくしょう!オレに……!オレたちにもっと力があれば……!!」

オメガがふらつきながらも言う。

『カイト……メタル……コアだ!感情を……爆発させろ!!』

「でも!そんなことしたらまたお前が!

 またあんな姿になるかも知れないのに……!」

カイトはオメガの黒い姿を思い出し戸惑う。

『状況……が状況だろう……。時間が無い!』

「ハッ!ひそひそ話は終わりか?これで終わりだ!!」

『ガアアアアアッ!!』

カースネイルがオメガめがけて飛び掛ってくる―――!!

『自分を……信じろ!カイト!!』

「くっそ、どうなっても知らねえぞ!うあああああああ!!」

カイトの叫びとともに、辺りに光が広がる――!

「なンだ、これは!?」

『まさしくこれは……拙者と戦ったあの時の……!!』

光が収まるとそこにいたのは……

黒く染まった装甲、赤いアイカメラのオメガだ。

ドラグロイと戦った時のもの、そのままだった。

『・・・・・・』

オメガは相変わらず黙りこくったまま、何故か研究室の壁へと右腕の銃口を向けた。

バトルフィールドがあるにもかかわらず、そのまま見せしめと言わんばかりにライフルを発射した!

そのライフルはフィールドをカンタンに貫き、研究室の壁をブチ破った……

それを見たダヴはなぜかニヤつき、

「なるほど…… ボスの狙いはこの力か……!

 圧倒的なまでの『破壊する力』!ヒャハハッ!最高じゃねえか!!」

カイトはうつむいたまま静かに言う。

「……違う」

「あ?」

「違う!オレが欲しいのは…… こんな力じゃない!」

ダヴは顔を引きつらせ、

「何言ってんだ、テメエは!力ってのはなァ、相手を潰すため!壊すため!

 叩きのめすためにあんだよ!!」

腕を振り上げ強く言い放つ。

しかしカイトは顔を上げ、強く決意した表情をみせ、ダヴに向き合う!

「そうだ......! オレは『守る力』が欲しいんだ……!

 お前らみたいなヤツから仲間を、皆を、大切な人たちを守る―――

 『力』が!!

オメガが再び光に包まれる―――!

とその時、ギンザとミイネがカイトの元へやってきた。

「カイトーッ!」

「よかった、無事みたいね!ってこの光は……?」

カイトがダヴを見据えて言う。

「……おい、おっさん!」

「あァ!?お兄さんと……」

カイトは言葉をさえぎり、続ける。

「証明してやる! 『守る力』がどれだけのモンか、って事をな!!」

オメガを包む光が収まった時、もう以前の黒い面影はなかった。

『これは―!?さっきとはまるで違う……!』

ドラグロイが驚くのはムリはなかった。

オレンジ色の装甲に戻り、赤い二対の翼、

ところどころに緑色に光る装置が埋め込まれている別の姿となっていた。

「パーツがロボトル中に変化するなんて…… 聞いたコトないわよ……!」

「これがメタルコアの力ってヤツなのかよ……!」

ミイネ、ギンザも思わず驚く。

オメガは自分の姿が変わっていると驚くと同時に、チカラがみなぎってくるのを感じた。

『この姿は……!?力が……満ちていく……!!』

「ケッ!何のハッタリだ?その姿は! ガキが偉そうにほざきやがって!

 ぶっ潰してやる!いくぞ!カースネイル!」

「オメガ!いけるな!」

『ああ!』

その時、メダロッチに今まで見たことのない表示が現れた。
「なんだ、これ・・・ ジェネレート システム ?起動してみるか!」

『G・S起動・・・飛躍的一部ノ機能ガ上昇シマス』

発動とともに、オメガに組み込まれている緑色の装置が輝きを増した!

『ガアアッ!!』

『これは……!?くっ!まずい!』 

回避が間に合わず、カースネイルのソード攻撃がオメガに直撃する――!

「ヘッ、大した事……」

と、思いきやカースネイルのソード攻撃は当たらず、空を切っていた。

「何だと!?」

オメガは直前にもかかわらず今までにない速さで横に飛び、攻撃をかわしていた!

『何だ、これは……!体が軽く……!?』

「おっし、今だ!オメガ、ライフルだあっ!」

『……よし!うおおおおっ!』

ライフルをカースネイルめがけぶっ放す!

ライフルのスピードがプロト時よりもはるかに速度が増していた!

回避を許さないままカースネイルの右腕を貫く!!

『グガアアアッ!!』

『カースネイル、右腕パーツダメージ100%。機能停止』

カースネイルの右腕の装甲が砕け散る!

「やったわ!」

「すげえ……!これがメタルコアの力……!」

カイトは思わず感心してしまう。

パワーアップを実感したのかオメガはグッと拳を握り締め、カイトへ振り向く。

『カイト、一気にケリをつけるぞ!!』

「ああ!」

果たしてこのまま押し切れるのか―――!?





Act.13・・・完

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