Act.10「それぞれの戦い―1」


―メダロット研究所1F―

ギンザとミイネは、1Fの襲撃地点へ到達した。

「アレ見て、ギンザ!」

複数のメダロットが研究所の電気系統の器具を壊そうとしていた。

キルヘルオウガが主だったが、飛行型メダロットらしきものもいた。

『ギ!!?』

どうやらギンザたちに気づいたらしく、戦闘体制をとった。

「良い度胸だ!ぶっ倒してやる!いくぞ、ヴルム!」

『合点です、親分!』

「一気に片付けるわよ!コル!」

『うん!』

「「メダロット・転送!」」

ヴルムとコルがメダロッチから一斉に転送される。

「行くぜ!バトルフィールド、展開!」

ギンザはメダロッチを操作しバトルフィールドを展開する。

『バトルフィールドヲ展開シマス……今回のバトルフィールドハ森林デス……』

「よし!相性抜群だぜ!」

「あたしは何処でも関係ないけどね。浮遊だし」

『……ロボトルファイト』

開始の合図とともに、ギンザはすばやくヴルムに指示をする!

「行けっ!ヴルム!ソードだ!」

『了解です、親分!』

ヴルムが敵の飛行型メダロットめがけ飛び上がり、斬り付けて攻撃する!

『ギ……!』

『グラップル、左腕パーツダメージ54%』

どうやらメダロッチにより飛行型メダロットの名前はグラップルと分かった。

グラップルがヴルムに反撃しようとするが、

「コル、スタティック!」

『了解っ!』

ミイネの指示が先に伝わり、スタティック攻撃がグラップルへと向かう!

その矢は見事にグラップルに突き刺さった。

『クリティカル!グラップル、左腕パーツダメージ47%。
左腕パーツ、機能停止』

グラップルの左腕パーツの装甲がはじけとんだ。

「うっし!やったぜ!」

「この調子でいきましょう!」







―2F 寺原の研究室―


「もう一つの―――『力』……!」

「そう。その力を発現するには……『感情』かも知れないと僕は考えているんだ」

「『感情』……」

カイトはおでこに指を当てう〜んと唸る。


「そうか、オレはあの時……ドラグロイをぶっ壊してやりたい!って思ってた……

だからオメガはあんな姿になったのかな」

「ふむ、なるほど……いわゆる負の感情がオメガを黒く染めた……

 それなら、話が早いかもしれない」

「え?ホントに!?」

「うん、簡単だよ。それは―――」

そう言いかけた時、激しい音とともに研究室の入り口の自動ドアが何者かにより無理矢理蹴破られた。

「誰だ!?」

「作戦成功・・・ってかァ!?」

ドアを蹴破ってきたその男は長髪で黒いスーツに身を包み、

首にゴツイ髑髏のネックレスをぶらさげていた。

「まさか……ブランク社!?」

その男はカイトの方を向きニヤっと不気味な笑みを浮かべ、話し始める。

「その通りだよ、坊主。俺は『ダヴ』。

  さァ、おとなしくメタルコアってヤツを渡せば痛い目見なくてすむぜ?」

寺原はダヴと名乗った男に質問をする。

「作戦と言っていたな……それはどういうことだ?」

ダヴはドラグロイの方を指差す。

「んなもん、ソッチでお寝んねしてるメダロットで弱らせて

 襲って楽々ブツをゲット、みたいな?ヒャハハハ!」

「ひでえ・・・オトリに使ったってのかよ!」

「はァ?『依頼ならば何者にも甘んじよう』

  ってほざいてたのはソイツだぜ?使ってやっただけでも

  感謝して欲しいモンだぜ!ヒャハハハハ!」

『成る程……そういう事だったか』

ドラグロイが回復装置を飛び出してきた。 しかし、剣はボロボロ、装甲も傷だらけ……

かろうじて動けるといった感じだった。

「何をしているんだ!君はまだ……」

『拙者はもう大丈夫だ…… ここまでつれて来たのは北条カイト、お主か?』

「あ、ああ」

ドラグロイはダヴの方へ傷ついた剣を向ける。

『ならば借りは返さねばなるまい……!
ダヴ、貴様は拙者が相手をする!
カイト、お主はオメガを連れて逃げろ!』

「あァ!?上等だ、このポンコツ!」

『……待て。オレもそのロボトル、参加させてもらう』

なんと、オメガも回復装置から飛び出してきた。

「オメガ!?」

しかし、その場で跪いてしまった…… 装甲は無事でも、身体がついていっていないのだろう。

『ぐ……!』

「バカ!全然平気そうじゃないじゃねえか!!」

オメガは膝に手をつき、なんとか立ち上がった。

『大丈夫だ…… さあ、始めるぞ』

何故かダヴが急に笑い出した。

「ぶはははは!ケッサクだぜこりゃ!塩ぶっ掛けられたナメクジみてえなクセ
によ!

丁度いい、てめえらまとめて地獄に送ってやンよ、出て来い!カースネイル!!」

ダヴのメダロッチから、真っ黒で爪の長い事が特徴的なメダロットが転送されてきた。

「あ、そうそう!あの二人・・・坊主のオトモダチか?」

 

急に思い立ったようにダヴがポンと手を叩いて言う。

「……!? ギンザとミイネをどうした!」

「今頃きっとアワ食ってるだろうよ、ヒャハハハハハ!!」







―研究所1F―

複数のメダロットを退け、電気機器の破壊は免れたギンザ達だったが……

「んだよ、こりゃ……」

「……これ、メダロットなの!?」



――――――果たして彼らが見たものとは!?



Act10・・・完

 

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